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- 「新規事業としてコミュニティサービスを立ち上げたいけど、収益化できるか不安…」
- 「社内コミュニティを活性化したいのに、ユーザーが集まらない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
近年、Redditなど海外発のコミュニティサービスがIPOを果たし、その収益化の可能性に注目が集まっています。しかし、日本ではコミュニティをビジネスとして成功させることは容易ではありません。コミュニティ自体が収益を生み出すことは難しく、そのビジネスモデルは限られています。
特に、初期ユーザーの獲得とコンテンツ不足は、多くのコミュニティビジネス担当者が頭を悩ませる課題と言えるでしょう。
本記事では、Podcast「ハイパー起業ラジオ」で配信された「#4-4 コミュニティとビジネス!初期の人がいないとコンテンツがない問題はどう解決する?」の内容を基に、コミュニティをビジネス化する際の課題と解決策、特に初期ユーザーの獲得とコンテンツ不足の解消に焦点を当てて解説していきます。
内容をざっくりでも理解したいひとや、本編を聞くまえに要点をつかんでおきたいひとは必読の内容です!
具体的な事例も交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んで、自社のサービスやコミュニティ運営に役立ててください。
目次
コミュニティビジネスにおける3つの収益モデル
コミュニティビジネスの収益モデルは、大きく分けて以下の3つに絞られます。
- 広告収入: メディア化による広告掲載
- 課金: プレミアム会員などの有料サービス提供
- EC: 商品販売や予約サービス
これらはインターネットビジネス全体に見られる基本的な収益モデルであり、コミュニティビジネスも例外ではありません。中でも、コミュニティメンバーが投稿したコンテンツをメディア化し、広告を掲載する方法が一般的です。
メディア化が重要な理由:ユーザー参加の構造と「ロングテール」
コミュニティをビジネス化する上で、メディア化 は非常に重要な戦略です。
なぜなら、コミュニティにおけるユーザー参加の構造と、収益拡大の鍵となる「ロングテール」という概念を最大限に活かせるからです。
具体的に、以下の2つのポイントに分解して解説します。
ユーザー参加の構造: わずか数%の「作る人」と大多数の「見る人」
多くのコミュニティでは、積極的にコンテンツを投稿・編集するユーザーはごく一部に限られ、大多数のユーザーは閲覧がメインという構造になっています。
例としてWikipediaを挙げると、アクティブ編集者は全体のわずか0.5%程度と言われています。しかし、Wikipediaの閲覧者は膨大で、Google検索においても主要な情報源となっています。
これは、コミュニティにおいても「作る人」と「見る人」の間に大きな開きがあることを示しています。
つまり、コミュニティビジネスを成功させるためには、コンテンツを "見るだけ" の大多数ユーザーにいかにリーチし、価値を提供できるかが重要になるのです。
そして、この課題を解決するのが メディア化 です。
コミュニティをメディアとして捉え、質の高いコンテンツを蓄積・発信していくことで、検索エンジンからの流入増加など、多くの「見る人」を獲得することに繋がり、収益化に近づきます。
ロングテール:ニッチなコンテンツの収益ポテンシャルを最大化
「ロングテール」とは、ニッチな需要を持つ商品やコンテンツでも、長期的に見れば大きな収益を生み出す可能性があるという考え方です。
ユーザー投稿型のメディアは、多様な興味関心を持つユーザーによって生成されたニッチなコンテンツが集まりやすいという特性があります。これらのコンテンツは、検索エンジンを通じてアクセスを集め、長期的に収益を生み出す可能性を秘めているのです。
例えば、特定の専門分野に特化したコミュニティを運営しているとします。そのコミュニティは、ニッチであるがゆえに競合が少なく、専門性の高い情報が集まりやすいというメリットがあります。結果として、その分野に関心の高いユーザーにとって貴重な情報源となり、長期的な成長と収益化の可能性を秘めていると言えるでしょう。
コミュニティをメディア化することで、このロングテールの力を最大限に引き出すことができます。
「サウナイキタイ」も当時ニッチだったサウナの口コミを集めるサイトとして、コアなサウナーから徐々に認知が広がっていきましたね!
コミュニティ立ち上げにおける「コールドスタート問題」
コミュニティビジネスにおいて、初期段階で直面するのが「コールドスタート問題」です。これは、ユーザーもコンテンツも少ない状態から、どのようにしてコミュニティを活性化させていくかという課題を指します。
ユーザーはコンテンツを求めてコミュニティに参加しますが、コンテンツがない状態ではユーザーは集まりません。しかし、ユーザーが集まらなければコンテンツも生まれないというジレンマに陥ってしまうのです。
このコールドスタート問題を解決しない限り、コミュニティは活性化せず、ビジネスとして成功することは難しいでしょう。
コールドスタート問題を突破する3つの解決策
コールドスタート問題を解決するための具体的な方法として、以下の3つを紹介します。
ツールとしての展開 | 自社コンテンツによる誘導 | 演出による活性化 | |
---|---|---|---|
内容 | 特定のニーズを満たすツールとして開発し、コミュニティ性を徐々に高める | 質の高いコンテンツを自社で制作し、ユーザーを惹きつける | 活発なコミュニティに見えるように演出を施す |
メリット | 初期ユーザーを獲得しやすい | ユーザーの興味関心を引きやすく、コミュニティの質を維持しやすい | 少ないリソースでコミュニティの活性化を図ることができる |
デメリット | コミュニティ化に時間がかかる場合がある | コンテンツ制作にコストと時間がかかる | 演出が過剰になると逆効果になる可能性がある |
事例 | 食べログ YouTube初期 | クラシル | Q&Aサービス「アンサー」 コンビニの雑誌コーナー |
もう少しくわしくそれぞれ解説していきましょう。
ツールとしての展開
最初からコミュニティ性を前面に出さず、特定のニーズを満たすツールとして展開する方法です。
例を3つ挙げますね。
- 食べログは当初、飲食店の感想を記録できるブログサービスのような位置付け。ユーザーが気軽に投稿できるツールとして普及し、その後、情報量が充実したことで飲食店検索サービスへと進化
- Instagramは当初、フィルター機能を使って写真を加工・共有するツールとして人気を集めた
- YouTubeも最初は動画共有ツールとしての側面が強かった
これらの例は、「ツール to ネットワーク」という戦略に基づいています。これは、まずツールとしてユーザーを獲得し、その後、ユーザー間の繋がりを生み出すことでコミュニティへと成長させていく手法です。
自社コンテンツによる誘導
自社で質の高いコンテンツを制作し、それを核としてユーザーを集める方法です。
- 例:レシピ動画サービスのクラシルは、当初は自社スタジオで撮影した高品質なレシピ動画を配信していました。ユーザーを獲得した後に、ユーザー投稿機能を解放し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)とPGC(プロが制作したコンテンツ)を組み合わせることで、より多くのユーザーのニーズに対応するサービスへと成長。
この方法では、ユーザーが求める情報を網羅的に提供することで、初期ユーザーの獲得を目指します。ただし、質の高いコンテンツを制作するには、相応のコストと時間がかかる点に注意が必要です。
演出による活性化
ユーザー数が少ない状態でも、コミュニティが活発であるように見せる方法です。
ここでは二つ例をご紹介します。
- Q&Aサービスのアンサーは、チャット風のUIを採用し、常に最新のコメントが上位に表示されるように設計。ユーザーは常に活発な情報交換が行われているように感じ、参加意欲を高める効果を狙った
- コンビニエンスストアが雑誌コーナーを入り口付近に設置し、立ち読み客がいる状態を作ることで、安心感を与え、来店を促す効果を狙っているのも演出の一種と言える
この方法は、ユーザー心理を巧みに利用することで、少ないリソースでもコミュニティの活性化を図ることができます。ただし、演出が過剰になるとユーザーの反感を買う可能性もあるため、注意が必要です。
まとめ
コミュニティをビジネスとして成功させるためには、「初期ユーザーの獲得」と「コンテンツ不足の解消」が重要な課題となります。
これらの課題を解決するために、
- ツールとしての展開
- 自社コンテンツによる誘導
- 演出による活性化
といった方法を組み合わせることが有効です。
重要なのは、ユーザー心理を理解し、魅力的なコミュニティを構築することで、ユーザーに愛されるサービスを生み出していくことです。
質の高いコンテンツを蓄積し、多くのユーザーを獲得することで、長期的な成長と収益化を目指しましょう。
Podcastではより具体的な話が聞けたり、尾原さんとけんすうさんの掛け合いを楽しめます!ぜひ本編もお聞きください!
最後にこの記事のテーマソング「コミュニティの未来」でお別れです!
[Intro][Instrumental]
[Verse 1]
広告収入の夢 (夢)
プレミアム会員の未来
商品販売も加わり
収益広がる明日へ
[Chorus 1]
コミュニティビジネスの光
未来を照らす力
長い道のりでも
希望を胸に進む
[Inter Piano solo]
[Verse 2]
メディア化が鍵を握る
ユーザー参加の絆
わずか数%の力
見る人の心に響く
[Bridge]
ロングテールの奇跡
ニッチな世界が広がる
ユーザーの声を糧に
未来を共に描こう
[Chorus 2]
コミュニティビジネスの光
未来を照らす力
長い道のりでも
希望を胸に進む
[Outro]
コールドスタートを乗り越え
夢に向かって飛び立つ
希望を胸に進む
未来の光を信じて
[Ending][Instrumental]